基底面に体の重心と足の床反力中心点(※1)が重なったところで静止立位で安定した状態が保たれます。
その状態から前に歩き始めるときに足の床反力中心点がとても不思議な動きをします。
1.図1に示すように、まずは最初に前に踏み出す足の後方に床反力中心点を移動します。
2.つぎに踏み出す反対側の足の後方に床反力中心点を移動してから内側前方に向かって移動します。
なぜこのような移動をするかというと、体を前に進めるためには、体の重心を前に動かす力が必要です。
そのためには、図2で示すように体の重心よりも足の床反力中心点を後ろにずらし不安定な状態をつくることで重心を前に倒すことができます。
また前に移動した重心を安定させるために、床反力中心点を体の重心に近づけていきます。
このように、不安定な状態をつくり、また安定した状態に戻すという繰り返しを精密にしているのが歩くことなのです。
なので、歩くということは簡単なようでとても難しことをしているのです。
※ここでの床反力中心点は左右の足の床反力を合成した中心点、作用点を示しています。