脳力/共感からコミュニケーションへ

意志の伝達には言語を使うのが一般的ですが、実は言語以外にも必要な能力があります。それは、相手が注視するものに自らも注意を向けたり、その注視の意図を理解する能力です。これを共同注視(ジョイント・アテンション)といいます。人間には、乳幼児期からこうした能力が備わり始めます。

生後1年ころから、赤ちゃんは、親が見つめたり指したりした先を目で追い、対象物を見つけることができます。ほどなくして、自分でも離れたところにあるものを指し、「あれが欲しい」というメッセージを伝えるようになります。さらに、指をさしながら「あんなものがあるよ」と言わんばかりに相手に振り向くといった行為は、何かを発見したことをあえて伝え、それに対して共感を求める行為です。さらに、4歳ぐらいになると、相手の考えを推測し、相手の心が自分とは違うと理解するようになります。そうすることで、相手の立場にたって考えることができるようになり、コミュニケーションが成立するようになるのです。

相手の気持ちを理解し共感できることが、人間が持つ細やかなコミュニケーション能力を支えています。

 

 日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より