味の感じ方は人によって異なることがあります。例えば、ブロッコリーやキャベツなどの野菜を食べるときにに苦味を強く感じる人とあまり感じない人がいます。この場合、苦味をあまり感じないだけであって、ほかの味は普通に感じることができます。この現象を「味盲(みもう)」といいます。
味の感じ方が異なるのは、苦味を感じる受容体の遺伝子に違いがあるためです。甘味とうま味の受容体は種類が少ないのに対し、苦味の受容体は25種類存在するといわれています。苦味は、そもそも毒物に対する味ですが、毒物の分子構造は甘味やうま味に比べて多種多様であるため、人間の進化の過程で苦味の受容体も多様化したといわれています。このことから苦味の感じ方は非常に個人差が大きいといわれています。苦味の物質によっては、その苦味を感じる最低の濃度が、人によって1,000~10,000倍も異なる場合があるといわれています。
また、苦味を強く感じる受容体を持つ人は、苦味の感じ方が弱い受容体を持つ人に比べて、子どものころに野菜を避ける傾向があるといわれています。
日本成人病予防協会 総務省認証 学術刊行物より